日清製粉グループの日清ファルマ株式会社(社长:中村胜)は、静冈県立大学大学院生活健康科学研究科横越英彦教授と共同で、小麦タンパク加水分解物(贵笔-18)の血圧低下作用と脳内神経伝达物质に対する影响を调べる実験を行いました。高血圧自然発症ラットを用い、FP-18を経口投与した结果、血圧低下と共に脳内セロトニン代谢が亢进する倾向がみられました。また、FP-18による血圧低下には、そのアミノ酸组成と共に、ペプチド成分が関与していることが示唆されました。
また、日清ファルマ株式会社の健康科学研究所では、生活习惯病の予防をコンセプトに新规食品素材の探索研究を积极的に推进しており、この度FP-18の抗高血圧効果を确认する為、动物及びヒトでの検讨を行いました?その结果、FP-18は高血圧自然発症ラットおよび軽症高血圧者を主体とした被験者の血圧を有意に低下させ、関与成分が新规な活性ペプチドであるペンタペプチドVPVPQであることが示されました。
これらの研究は、(株)日清製粉グループ本社と日清ファルマ(株)が連携し、新しい機能性食品を探索することを目的として静岡県立大学(学長:西垣 克)に設立した寄附講座の成果の一つとなります?
今回の2つの研究成果は、本年3月27日から29日まで、名城大学で开催される「日本农芸化学会2008年度大会」の中で3月28日(金)17:54?発表されます。
本研究に関するお问い合わせ先
日清ファルマ株式会社 健康科学研究所 担当:柴田
电话049-267-3947
◆ 小麦タンパク加水分解物(FP-18)について
小麦グルテン加水分解物(贵笔-18)の原料は、小麦粉の主成分であるグルテンです。グルテンを2段阶の酵素により分解を行った后、精製、乾燥して造られます。特徴は、水に良く溶ける淡黄色の粉末であることで、タンパク质よりも细かいため、摂取したときの消化?吸収が良いということが言えます。これまでに动物やヒトの血圧低下作用があることが确认されており、日清ファルマ株式会社にて机能性食品としての开発が进められてきました。
◆ ペプチドについて
ペプチドは决まった顺番で様々なアミノ酸がつながってできた分子のことです。タンパク质は50以上のアミノ酸から成り、酵素で分解されるとペプチドになります。つながるアミノ酸の数は様々で、例えば、ペンタペプチド、テトラペプチド、トリペプチド、ジペプチドはそれぞれ5、4、3、2つのアミノ酸から成っています。
◆ セロトニンについて
ヒトを含む动植物に一般的に含まれる化学物质で、トリプトファンというアミノ酸から合成されます。人体中では小肠や脳内に存在します。脳内のセロトニンは神経伝达物质のひとつとして视床下部などに分布し、これらが人间の精神活动に大きく影响しています。近年では日常生活から、うつ病や神経症などの精神疾患(无论全てではない)に至るまでセロトニンの影响が注目されるようになりました。
【参考资料1】
小麦タンパク加水分解物(贵笔-18)の血圧低下作用と脳内神経伝达物质に対する影响
○小島 尚子、金子 明裕1、横越 英彦(静岡県大院生活健康、1日清ファルマ)
【目的】食品由来ペプチドの血圧低下作用に関し、多くの研究报告がある。その作用机构としては、アンギオテンシン変换酵素(础颁贰)活性の阻害が一般的に言われている。しかし小麦タンパク加水分解物(贵笔-18)は血圧低下作用を示すにも関わらず、その作用が弱い。そこで本研究では血圧调节がカテコールアミン及びセロトニン作动性ニューロンに関与していることに着目し、贵笔-18摂取による血圧低下作用と脳内神経伝达物质の関连について検讨した。
【方法】12週齡雄性高血圧自然発症ラット(SHR)を用い、FP-18, FP-18と同アミノ酸組成溶液, FP-18中に含まれ、血圧低下作用を示すペプチド(VPVPQ)を経口投与した。投与2時間後屠殺し、脳内神経伝達物質とアミノ酸濃度を測定した。
【结果】扁桃体でのセロトニン浓度の减少とその代谢物の増加により、セロトニン代谢の亢进が见られた。またアミノ酸溶液と痴笔痴笔蚕においても血圧低下に伴い、セロトニン代谢が亢进する倾向が见られた。これより贵笔-18による血圧低下の起因の1つとして、セロトニン代谢の亢进があると考えられる。
【参考资料2】
小麦タンパク加水分解物(贵笔-18)の抗高血圧作用
○松岡 由記、安井 謙介、原田 昌卓、平本 茂、長瀬 政雄(日清ファルマ)
【目的】小麦タンパク加水分解物(FP-18)は、小麦グルテンを2種類の酵素で加水分解後、噴霧乾燥を行うことにより得られる水溶性のペプチドである。本研究では、FP-18の抗高血圧効果を確認するため、動物及びヒトにて検討を行った。【方法】(1)ラットの血圧低下作用:高血圧自然発症ラット(SHR)にFP-18を単回または28日間連続経口投与し、血圧を測定した。次に、血圧低下活性を指標にFP-18より単離、同定したペプチドVPVPQをSHR に単回経口投与し、血圧を測定した。 (2)ヒトの血圧低下作用:軽症高血圧者を主体とする被験者40名にFP-18(4g/回)又はプラセボを8週間摂取させ、血圧を測定した。【結果】 (1)FP-18 225, 450, 900mg/kg単回経口投与により2?8時間後のSHRの収縮期血圧が有意に低下した。また、225, 450, 900, 1800mg/kg連続経口投与により7?28日後のSHRの収縮期血圧が有意に低下した。そして、VPVPQ 3, 10, 20mg/kg経口投与により2?8時間後のSHRの収縮期血圧が有意に低下した。 (2)FP-18摂取群において、6、8週間後の収縮期血圧と8週間後の拡張期血圧が摂取前に比べて有意に低下した【結論】FP-18は抗高血圧効果を有することが明らかになり、関与成分の一つとしてペンタペプチドVPVPQが示唆された。