TikTok成人版

食の革命が起きる!?
日本初「高食物繊维小麦」の可能性

食の革命が起きる!?

消费者の健康志向が年々高まるなか、パン?麺?菓子等の売场にも健康机能をうたう食品が并ぶ。
そんな市场を大きく変える“革命児”として期待を集めているのが、
日清製粉がオーストラリアの种苗会社と独占输入贩売契约を结んだ「高食物繊维小麦」だ。
いったいどれほどすごいのだろうか?その谜に迫ってみよう。

村上 浩二

PROFILE

日清製粉株式会社技術開発本部長 兼 生産本部次長

村上 浩二

1990年入社。穀物科学研究所に所属していたが、6年後、工場の品質管理担当に。年によって作柄や品種構成の異なる原料小麦を、「粉砕」と「ふるい分け」という物理加工技術のみで安定した品質の小麦粉に仕上げる製粉の奥深さにはまり、以来、本社の品質管理グループに長く所属。2015年に生産本部次長、2017年に研究开発本部次長、2019年に研究开発本部長となり、2021年より現職。高食物繊維小麦プロジェクトの中心的な役割を担っている。

全社横断で掴みとった独占输入贩売契约

インタビューカット1

话を闻いたのは、20年以上にわたり日清製粉の品质管理を务めていた村上さん。日清製粉の「品质管理」は、いわゆる工场での品质管理だけでなく、原料小麦の生产国等との折衝、お客様への対応までも担う。

村上さんは以前、製粉协会の技术委员も务めており、日本の製粉业界を代表して小麦の生产国であるアメリカ?カナダ?オーストラリアに、日本が求める小麦の品质を伝える役割も担っていた。川上から小麦?小麦粉のことを熟知する、いわば「小麦粉のスペシャリスト」だ。今回の高食物繊维小麦の输入贩売にあたっては、开発元である础搁滨厂罢础社との交渉窓口となり、中心的な役割を担っている。

プロジェクト最初の関门となったのは、一国につき一社のみと契约する、という础搁滨厂罢础社の独自の方针だった。公司选定の基準は量ではなく、どれだけ真剣に高食物繊维小麦に取り组んでくれるか。

「実际、アメリカでは业界5位の会社が契约していて、当社が国内シェアトップでも全く気の抜けないコンペティションでした。しかも高食物繊维小麦の特许はすべて础搁滨厂罢础社が持っているので、ここと契约できなければ実质、高食物繊维小麦を扱うことができない。もし契约を取れなかったら、会社を辞めようかとまで思いましたよ。」と村上さんは振り返る。

会社の今后にも関わる重要案件――。村上さんの旗振りのもと、技术开発本部、生产本部だけでなく他部署も巻き込み、础搁滨厂罢础社からの质问に回答し、高食物繊维小麦のさまざまな活用案を提示していった。そして、その迅速な対応力と前向きな提案が评価され、无事、日清製粉が日本及び中国での贩売パートナーに选ばれることになった。

パン1枚で食物繊维不足を解消。
大きな可能性を秘めた小麦

それでは「高食物繊维小麦」の画期的な特徴について闻いていこう。

「高食物繊维小麦は食物繊维の一种であるレジスタントスターチを多く含んでいます。この小麦を使うと、一般的な小麦粉の约5~10倍の食物繊维を含む小麦粉を作ることができます。」

食物繊维は便通をよくする整肠効果だけでなく、近年、食后の血糖値の上昇抑制、血液中のコレステロール浓度低下等、多くの生理机能が明らかになってきている。一方で、毎日の食事で必要量を摂ることが意外と难しく、ほとんどの日本人が厚生労働省の推奨する摂取目标量に届いていないと言われている。しかし、そんな食物繊维不足を、なんと高食物繊维小麦を使った食パン1枚で解决できるというのだ。

「例えば、一般的な6枚切り食パンの食物繊维はだいたい1枚2グラム。小麦粉の7~8割を高食物繊维小麦に置き换えると、6グラム程度になります。だいたい毎日5グラムくらい足りないと言われているので、1枚置き换えるだけで不足分が补える。今、健康を気にされている方はとても多いと思うのですが、おいしくパンやケーキを食べていたら食物繊维も楽々摂れちゃった、となったら理想的ですよね。」

ポイントは、小麦粉そのものに食物繊维が含まれているということ。「现在、小麦粉系の食品の食物繊维を増やすには、ふすま(小麦の外皮)や全粒粉に置き换えたり、タピオカでん粉を加工した食品添加物を混ぜたりするのが一般的です。しかし、そうすると“えぐみ”が出たり、もそもそした食感になってしまいます。それらを入れることなく、主原料になる小麦をこの高食物繊维小麦に置き换えるだけで、食物繊维を多く含んだ食品を作ることができるのです。」

高食物繊维小麦は通常の小麦粉と同じく広范囲に利用できるため、パン、麺、菓子类等さまざまな食品の食物繊维を増やせる点も大きな魅力だ。

础搁滨厂罢础社とは

「オーストラリア连邦科学产业研究机构」と、世界3位の种苗会社であるフランスの「リマグレイン社」により、健康に役立つ小麦の开発と商品化を目的として设立された会社。今回の高食物繊维小麦は、20年以上の研究を経て、自然交配で作られた。

ARISTA社ロゴ

高食物繊维小麦とは

食物繊维の一种である难消化性でん粉(レジスタントスターチ)を非常に多く含む小麦。この高食物繊维小麦を小麦粉にした际、一般的な小麦粉の约5~10倍の难消化性でん粉、すなわち食物繊维を含むことになる。

高食物繊維小麦

おいしくなくちゃ、意味がない。
机能と味を両立するための
研究开発を推進中

製品イメージ

高食物繊維小麦への期待は膨らむばかりだが、現在は数年後の製品化に向けて、研究开発がスタートした段階。世の中に届けるためには2つの課題をクリアする研究开発が必要だという。

「1つ目はおいしさの研究开発です。食物繊維が豊富な分、そのままだとポキポキした食感があります。それでもふすまパンよりおいしいのですが、やはり普通のパンに比べて少し劣ると感じる部分はあるので、パンでも麺でも菓子でもおいしく食べられるようにしたいですね。」

そして2つ目が、食物繊维量を保つための製造工程の研究。レジスタントスターチは、従来の製粉工程やパン?麺?菓子を作る二次加工の工程で减っていってしまう。これをどうやって减らさないようにするか、という研究だ。さらに基础的な健康机能性の研究等もこれから进めていく。

「もちろん健康机能は重要ですが、おいしく食べ続けられることが一番大事だと考えています。健康のためにおいしさを我慢しても、きっと长続きしないですよね。『高食物繊维でも普通のパンと変わらずおいしいね』どころか、『普通のパンよりもおいしいよね!』と言ってもらえるレベルにしたいなと思っています。まだ研究途中ですが、ジャンルによっては高食物繊维小麦の方がおいしいパン?麺?お菓子ができそうだという手ごたえもありますよ。」

高食物繊维小麦を
毎日の「食」の选択肢に

インタビューカット2

当面は業務用としての販売を想定しているが、ゆくゆくは家庭用製品の展開ももちろん視野に入れている。高食物繊维小麦を特別な食品ではなく、毎日の食事のなかで気軽に選べる選択肢の1つにしていきたいという。

「高食物繊维小麦を使ったパン?麺?菓子等にロゴマークを付けることも考えています。そのマークを見て消費者の方が製品を選ぶことが常識になるくらい、世の中に高食物繊維小麦が浸透するのが夢ですね。何よりも、主食で食物繊維を気軽においしく摂れるようになれば、大げさでなく“食の革命”が起こせるはず。食生活を根本から変える可能性を持った素材だと確信しています。研究を進めて、早く皆さんのもとに届けたいです。」

関连情报