長寿につながる食習慣!?地中海式食事法 ②(全3回)
どちらも长寿食?和食と地中海式食事法を比较しよう!
ハーバード大学の研究などにより长寿にもつながる効果が示唆されている「地中海式食事法」。その一方で、和食も日本人の长寿の秘诀だといわれています。和食と地中海式食事法にどのような违いや共通点があるのか、比较しながら考えてみましょう。
ハーバード大学の研究などにより长寿にもつながる効果が示唆されている「地中海式食事法」。その一方で、和食も日本人の长寿の秘诀だといわれています。和食と地中海式食事法にどのような违いや共通点があるのか、比较しながら考えてみましょう。
和食は长寿の秘诀と言われているけれど????
世界的にみれば、地中海式食事法は、生活习惯病を予防する健康长寿食としての地位が最も确立されているといわれています。前回のコラムでお伝えしたように、少なくとも科学的な根拠によって健康で长生きできる可能性の高い食事法と考えられているのです。
一方で、和食も日本人の长寿の秘诀として注目されているのですが、実は、和食が健康に良いことを証明する研究や论文は少なく、残念ながら「和食を食べていれば安心」とは必ずしもいえないようです 1)。
日本人は长寿というイメージがありますが、実は平均寿命が延びたのは歴史的にみればごく最近のこと。戦后まもなくの1947年の平均寿命は、男性は50.06歳、女性は53.96歳でした 2)。
さらにかつての日本では脳卒中の高い発症率が指摘されており、その原因は、炭水化物と塩分に偏りがちで脂肪やタンパク质を摂らない食生活にあったのではないかと考えられています3)。戦后に日本人の寿命が急速に延びたのは、医疗环境の発达などさまざまな要因もありますが、経済が豊かになり、肉や卵などの动物性タンパク质と脂质の摂取が増えたことも深い関係があるようです 4), 5)。
このように、今でこそ日本人の平均寿命は「人生100年」とまでいわれるまで延びましたが、それが和食のおかげとは必ずしもいえないようです。「健康长寿食」として、和食と地中海式食事法はいったい何が违うのでしょう?
违いの决め手はオリーブオイル?
和食と地中海式食事法
海に囲まれた岛国の日本と、海を囲むように広がる地中海沿岸の地域は、地理的な环境がよく似ており、海の幸に恵まれた食材の特徴も似ています。
しかし気候风土の违いによりそれぞれの食文化は异なる発展を遂げてきました。
高温多湿の日本では稲作と発酵を活かした食文化が発达。一方、乾燥した地中海沿岸地域では、小麦とオリーブの栽培を活かした食文化が长い年月を経て育まれてきました。
また日本では家畜を育てる习惯が少なく、仏教の影响により肉食が避けられてきた歴史がありますが、地中海沿岸地域では、牛、豚、ヒツジ、ヤギなどの牧畜によって肉や乳製品が亲しまれてきました。その他、日本には海藻类を利用する独特の食文化があります。
両者の共通点と违いを简単にまとめた表を见てみましょう。食材面では共通点も多いですが、油脂の使用に関して大きな违いがあることにお気づきでしょう。
■和食と地中海式食事法の共通点と相违点
?野菜、豆类を多く食べる
?穀物(小麦、米)を「主食」とする
?鱼介类をよく食べる
?和食...油脂を使わない、発酵食品が豊富、海藻类を食べる
?地中海食...オリーブオイルを多用、乳製品が豊富、肉は比较的少なめ
高脂肪食なのにヘルシーな地中海式食事法
先ほどの表からもわかるように、和食は调理に油脂を使わないことが特徴ともいえます。和食は世界でも稀に见る低脂肪食なのです。
ところが意外かもしれませんが、油脂をまったく使わないということが、必ずしも健康的であるということを意味するわけではありません。なぜなら、脳の血管を丈夫に保つためには一定量の脂肪やタンパク质が不可欠だからです。さらに、和食のように塩分浓度が高くなりがちな食习惯は高血圧につながり、かつての日本では、脳卒中の発症率が高かったのです6)。
地中海の料理は基本的にはとてもシンプルな调理法です。野菜や豆类をオリーブオイルで调理すれば自然に美味しさが引き出され食物繊维の摂取量も増えます。料理の风味付けにはオリーブオイルにヴィネガー(レモン汁)、香りの良いハーブやスパイス、ナッツ类などを活用することで満足感がもたらされ、おのずと塩分は控えられます 7)。さらに、これらの料理はパスタや全粒粉パンとも相性が良く、食后の血糖値の上昇が抑えられる効果もあり 8), 9)、糖尿病の予防にもつながります 10)。また、食事のおいしさを楽しみながら长期的にはリバウンドの少ないダイエット効果 11), 12)やメタボの改善 13)を期待することができます。
- 1)津川友介. 世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事. 東洋経済新報社, 2018, p.62-63.
- 2)厚生労働省 各種統計調査 生命表 「平均寿命の国際比較」「主な年齢の平均余命の年次推移」
- 3)ウィレット,ウォルターC. 太らない、病気にならない、おいしいダイエット. 前田和久訳.光文社, 2003, p.305.
- 4)藤田紘一郎. 人生100年時代の老いない食事. フォレスト出版, 2018, p.37.
- 5)柴田博. 高齢者の脂肪摂取と健康. オレオサイエンス. 2013, 13(1), p.17-23.
- 6)上島弘嗣. 循環器疾患の予防の歴史と展望:国民の健康を守る視点から. 日循予防誌. 2017, 52(1), p.1-11.
- 7)横山淳一, 松生恒夫, 鈴木俊久. オリーブのすべて. 幸書房, 2018, p.135-136.
- 8)柳井一男, 旗川陽子, 横山淳一. 白米飯食,麦飯食,パスタ食の各食後の健常者における血糖及びインスリン反応. 日本病態栄養学会誌. 2003, 6, p.159-163.
- 9)青江誠一郎, 野崎 聡美, 菊池 洋介, 福留 真一. 小麦全粒粉配合パンの食後血糖値上昇抑制効果. 栄養学雑誌. 2018, 76(1), p.20-25.
- 10)PLoS Med. 2007 Aug;4(8):e261. doi: 10.1371/journal.pmed.0040261.
- 11)N Engl J Med. 2008 Jul 17;359(3):229-41. doi: 10.1056/NEJMoa0708681.
- 12)N Engl J Med. 2012 Oct 4;367(14):1373-4. doi: 10.1056/NEJMc1204792.
- 13)JAMA. 2004;292(12):1440-1446. doi:10.1001/jama.292.12.1440
<监修>
绪方哲男
アトリエ メディテラネ代表/オリーブオイル鑑定批評家